■わだいさむものがたりP.5

御坊ロータリークラブ和田勇委員会

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新聞を読む勇と正子-イラスト 「パパ、きょうの新聞に載ってるんやけどね、
日本の水泳選手のみなさんが宿泊所を探しているんですって…」

ある日の夜、夕食を終えた後、
正子は勇に新聞を手渡してひとつの記事を指さしました。

勇がすぐにざっとその記事に目を通すと、
全米水泳選手権へ出場する日本人選手団に
宿泊場を提供してくれる人を探している、という内容です。
「ほう」勇は、正子に笑いかけて言いました。
「なるほど。で、マサは、この家に選手たちを泊めてあげることを思いついたのやな」

「ええ。パパはどう思います?」
「ふーむ、そうやなあ」
「家はベッドルームもたくさんあるし、
三、四人と言わずチーム全員を泊めてあげることもできるやない?」
「たしか選手は六人よなあ。
コーチを二人とすれば、八人か。そんなに大勢いっぺんに面倒みられるかい?」
「ユタの農場で過ごした戦争のときのことを考えたら、お安いご用じゃないですか」
「そうやな。よし、ようわかった。マサがええいうんやから、それでええ。うちでお世話させてもらおうやないか」
勇は早速、日本水泳選手団招致委員会の清水委員長に電話をかけて、選手たちを受け入れる旨を申し出ました。